北欧神話の「ゴブリン」的キャラといえば?

北欧神話には、多くの神々や巨人、妖精のような存在が登場しますが、一般的なファンタジー作品に見られる「ゴブリン」に相当する存在は比較的少ないです。しかし、北欧の伝承や民間伝承には、ゴブリンと似た特徴を持つ存在がいくつか登場します。

 

本記事では、北欧神話やスカンディナヴィアの伝承に登場するゴブリン的存在について詳しく解説します。

 

 

北欧神話におけるゴブリンに近い存在

北欧神話において、一般的な「ゴブリン」に近いとされるのは、主にドヴェルグ(ドワーフ)トロール、そしてニッセフルグルなどの妖精的な存在です。

 

ドヴェルグ(ドワーフ)

ドヴェルグ(Dvergr)は、地下に住む鍛冶の名手であり、神々の武器や道具を作り出した存在です。ゴブリンのような小柄な姿をしており、賢いが狡猾な性格を持っています。

 

ドヴェルグの特徴
  • 小柄で醜い:人間よりも小さく、しばしば醜い姿をしている。
  • 優れた鍛冶技術:ミョルニル(トールの槌)やグングニル(オーディンの槍)を作った。
  • 狡猾で意地悪:神々を騙したり、取引で不利にならないように立ち回る。

 

ドヴェルグは、ゴブリンのように邪悪ではありませんが、しばしば狡猾で神々を出し抜こうとする点が共通しています。

 

トロール(巨大な怪物)

トロール(Troll)は、北欧の伝承に登場する巨人のような怪物ですが、一部の小型のトロールはゴブリンに近い性格を持っています。彼らは主に森や山に住み、人間にいたずらを仕掛けることが多いです。

 

トロールの特徴
  • 大きさに幅がある:巨大なものから小型のものまで存在する。
  • 人間を嫌う:特に日光を避け、人間を襲うこともある。
  • 愚鈍だが強力:知性は低いが、怪力を持つことが多い。

 

小型のトロールは、ゴブリンのように狡猾でいたずら好きな性格を持っており、洞窟や森の奥に潜むことが多いです。

 

北欧民間伝承に登場するゴブリン的存在

北欧神話そのものにはゴブリンという概念はありませんが、スカンディナヴィアの民間伝承には、ゴブリンに似た妖精や精霊が登場します。

 

ニッセ(Nisse) / トムテ(Tomte)

ニッセトムテは、家や農場を守る小さな妖精です。通常は善良な存在ですが、粗末に扱われるといたずらを仕掛けることがあります。

 

ニッセの特徴
  • 小柄な妖精:人間の子供ほどの大きさ。
  • 家の守護者:農家の世話をするが、不敬な扱いを受けると怒る。
  • 夜行性でいたずら好き:気に入らない家にはいたずらをする。

 

ニッセはゴブリンほど邪悪ではありませんが、小さくていたずら好きな点は共通しています。

 

フルグル(Huldra)

フルグルは、森に住む美しい女性の姿をした精霊ですが、一部の伝承ではゴブリンのように人間を騙したり、迷わせたりする存在とされています。

 

北欧神話のゴブリン的存在の共通点

北欧神話には「ゴブリン」という名称の存在はいませんが、ドヴェルグやトロール、ニッセなどの精霊が、ゴブリンに近い特徴を持っています。

 

北欧神話のゴブリン的存在の共通点
  • 小柄な体格:特にドヴェルグやニッセは小柄。
  • いたずら好き:人間を騙したり、迷わせたりする。
  • 魔法や鍛冶の技術を持つ:特にドヴェルグは強力な武器を作る。

 

現代のゴブリン像との違い

現代のファンタジー作品に登場するゴブリンは、しばしば醜く邪悪なモンスターとして描かれますが、北欧神話やスカンディナヴィアの伝承におけるゴブリン的存在は、必ずしも邪悪ではなく狡猾でいたずら好きな精霊や妖精という側面を持っています。

 

北欧神話に明確な「ゴブリン」は存在しませんが、ドヴェルグ(ドワーフ)や小型のトロール、さらにはニッセフルグルといった妖精が、ゴブリン的な特徴を持っていました。これらの存在は、北欧の森や山の中で人々を驚かせたり、時には助けたりする存在だったのですね。