
ギリシャ神話におけるオリュンポス、キリスト教の天国のように、多くの神話には神々が住む「天界」の概念があります。それでは、北欧神話において「天界」に相当する場所は存在するのでしょうか?
結論から言えば、北欧神話には明確に「天界」と呼ばれる場所はありません。しかし、アースガルズ(アースガルド)がこれに最も近い存在と考えられます。アースガルズはアース神族の住まう神々の国であり、ユグドラシル(世界樹)の上層に位置するとされます。
本記事では、北欧神話における「天界」としてのアースガルズの役割、その他の世界との関係について詳しく解説していきます。
アースガルズ(Ásgarðr)は、北欧神話においてアース神族の住む領域とされています。これは人間の世界であるミズガルズ(ミッドガルド)の上に位置し、神々の都とも呼べる場所です。
アースガルズは神々の国であると同時に、敵から守るための要塞としての機能も果たしていました。
北欧神話では、世界は九つの領域(ナイン・ワールズ)に分かれており、アースガルズはそのうちのひとつです。
ユグドラシルは、北欧神話の世界を結びつける世界樹であり、各領域はその枝や根に位置するとされています。
アースガルズはこれらの世界の中でも最上位に位置し、神々がこの世界から地上や他の世界を見下ろす存在として描かれています。
アースガルズとミズガルズ(人間界)は、ビフレストと呼ばれる虹の橋でつながっています。
ビフレストの存在は、アースガルズが「天界」に近い役割を持つことを示しています。
北欧神話のアースガルズと、ギリシャ神話のオリュンポスはどちらも神々の住む世界ですが、その性質には違いがあります。
アースガルズは楽園というよりも、戦いと秩序を守るための神々の砦という印象が強いのです。
北欧神話における「天界」に最も近い存在は、神々の住むアースガルズです。これはユグドラシルの上層に位置し、ビフレストの虹の橋によって人間の世界とつながっています。ただし、ギリシャ神話のオリュンポスのような楽園ではなく、戦士たちが身を守る要塞のような場所でした。
北欧神話において、天界は単なる神々の楽園ではなく、秩序と戦いが交錯する神聖な領域だったのです。