北欧神話と日本神話との共通点や違いとは?

北欧神話日本神話は、それぞれスカンディナヴィアと日本に伝わる神話体系ですが、まったく異なる文化圏で発展したにもかかわらず、多くの共通点を持っています。一方で、気候や宗教観の違いから、神々の性格や世界観には大きな相違も見られます。

 

本記事では、北欧神話と日本神話を比較し、その共通点と違いを詳しく解説します。

 

 

北欧神話と日本神話の共通点

北欧神話と日本神話には、意外なほど多くの共通点が見られます。

 

天地創造神話の存在

どちらの神話にも、世界の始まりを説明する天地創造神話が存在します。

 

  • 北欧神話では、ムスペルヘイム(炎の国)とニヴルヘイム(氷の国)の衝突により、巨人ユミルが誕生し、その身体から世界が作られました。
  • 日本神話では、最初に現れた神々(造化三神)が世界を形作り、のちにイザナギイザナミが国生みを行いました。

 

どちらも「混沌の世界から秩序が生まれる」という構造を持っています。

 

主神が支配する世界

両神話には、神々の世界を統べる主神的な存在がいます。

 

  • 北欧神話では、知恵と戦争の神オーディンがアスガルドの主神として君臨しています。
  • 日本神話では、太陽神アマテラスが高天原の支配者として神々を統率しています。

 

どちらも世界の秩序を保つ存在として、神々の中心的役割を担っています。

 

神々の戦いと終末の概念

両神話には、神々の戦いを描く壮大なストーリーがあります。

 

  • 北欧神話では、終末の日であるラグナロクで神々と巨人が戦い、多くの神々が滅び、新たな世界が生まれます。
  • 日本神話では、国譲り神話タケミカヅチが国津神を制し、天孫が地上を支配する展開となります。

 

どちらの神話も、「神々の戦いを経て新たな秩序が築かれる」という共通点があります。

 

北欧神話と日本神話の違い

共通点がある一方で、北欧神話と日本神話には大きな違いも見られます。

 

世界観の違い

北欧神話では、世界は九つの世界(アスガルド、ミッドガルドなど)で構成されており、それらはユグドラシル(世界樹)によってつながっています。

 

一方、日本神話では、世界は高天原(神々の世界)、葦原中国(人間界)、黄泉(死者の国)の三層構造とされています。

 

日本神話では、死者の世界である黄泉があまり詳細に描かれないのに対し、北欧神話では死後の世界がヴァルハラやヘルヘイムなど細かく分かれています。

 

神々の性格の違い

北欧神話の神々は、人間と同じように死ぬ存在です。オーディンやトールでさえ、ラグナロクで命を落とします。これに対し、日本神話の神々は基本的に不死であり、死んだ場合でも神格化されることが多いのです。

 

また、北欧神話の神々は狡猾で戦い好きな傾向があり、神々同士の裏切りや駆け引きが頻繁に起こります。一方、日本神話の神々は、より和を重んじる性格が特徴的です。

 

死後の概念の違い

北欧神話では、死後の世界が細かく設定されています。戦死者はヴァルハラへ行き、オーディンのもとで戦士として過ごします。老衰や病気で死んだ者はヘルヘイムに行き、静かに過ごします。

 

一方、日本神話では、死後の世界である黄泉についての記述は少なく、死後の運命は曖昧にされています。

 

現代に残る神話の影響

北欧神話と日本神話は、現代の文化にも影響を与えています。

 

地名や行事

北欧神話由来の地名として、デンマークのオーデンセ(オーディンに由来)などがあります。
日本神話では、神々に由来する神社が数多く存在し、伊勢神宮はアマテラスを祀っています。

 

ポップカルチャーへの影響

北欧神話は『マイティ・ソー』や『指輪物語』などのファンタジー作品に影響を与えています。
日本神話はアニメや漫画に多く取り入れられ、『もののけ姫』などにその影響が見られます。

 

北欧神話と日本神話には、天地創造神話や神々の戦いなどの共通点がある一方で、世界観や神々の性格には大きな違いが見られます。どちらの神話も、その土地の文化や価値観を反映しており、現代にも大きな影響を与え続けているのですね。