
北欧神話には、神々の壮大な戦いや英雄たちの冒険が描かれていますが、その中には「嫉妬」をテーマにしたエピソードも数多く存在します。嫉妬が原因で争いが生まれ、神々や世界の運命が大きく変わることも珍しくありません。
今回は、北欧神話における嫉妬にまつわる物語の中から、特に重要なエピソードをご紹介します。神々の感情がどのように物語を動かしていくのか、一緒に見ていきましょう。
フレイヤは、美と愛を司る女神であり、その魅力は神々だけでなく巨人たちをも魅了しました。彼女の美しさに嫉妬し、あるいは彼女を手に入れようとする者たちが引き起こした事件は数多くあります。
たとえば、神々の都アースガルズの城壁を築く契約を結んだ巨人は、その報酬としてフレイヤを要求しました。神々はこの要求を拒もうとしますが、契約を結んでしまったため、ロキの策略によって事態を回避せざるを得ませんでした。このように、フレイヤを巡る嫉妬と欲望は、神々の世界において重要な要素となっています。
雷神トールの妻であるシヴは、美しい金髪を持つことで知られていました。しかし、この美しさに嫉妬したのがトリックスターのロキです。
ある日、ロキはシヴが眠っている間に、彼女の髪をすべて切り落としてしまいました。これを知ったトールは激怒し、ロキに髪を元通りにするよう命じます。そこでロキはドワーフたちのもとへ行き、魔法の力でシヴのために黄金の髪を作らせました。
この事件は単なるいたずらではなく、ロキの嫉妬心が招いたものとも言えます。彼はしばしば周囲の幸福や美しさに対して不満を抱き、それを壊そうとする性格を持っていたのです。
北欧神話の中でも特に悲劇的なエピソードが、光の神バルドルの死です。バルドルは神々の中でも特に美しく、愛される存在でした。しかし、その存在がロキの嫉妬心を刺激することになります。
ある日、バルドルは自分の死を予知し、母フリッグは世界のすべてのものに「バルドルを傷つけない」と誓わせました。しかし、唯一ヤドリギだけがその誓いを免れていました。この事実を知ったロキはヤドリギで矢を作り、盲目の神ホズにそれをバルドルへ向けて放たせます。
こうしてバルドルは命を落とし、神々は大きな悲しみに包まれました。ロキの嫉妬心がこの悲劇を引き起こし、結果として彼は神々の怒りを買い、罰を受けることとなるのです。
北欧神話では、神々の嫉妬がさまざまな事件を引き起こしました。
といったように、神々の感情が北欧神話の展開に大きく影響を与えているのです。