
北欧神話では、死後の世界は一様ではなく、亡くなった者の生前の行いによって行き先が異なります。
戦士たちが迎えられるヴァルハラや、女神フレイヤが治めるフォルクヴァング、
自然死した者が向かうヘルヘイムなど、さまざまな世界が存在します。
では、それぞれの死後の世界はどのような場所なのでしょうか?
本記事では、北欧神話における死後の世界の特徴と、魂の行き先について詳しく解説します。
北欧神話には、キリスト教のような「天国」と「地獄」という単純な構造はありません。
死後の行き先は、生前の行動や死に方によって決まるとされていました。
戦場で勇敢に戦い、名誉ある死を遂げた者は、主神オーディンの宮殿ヴァルハラへと迎えられます。
ここでは、戦士たちは昼は戦い、夜は宴を楽しむという永遠の戦いと祝宴の日々を送るとされています。
ヴァルハラの戦士たちは、終末の日ラグナロクの戦いに備え、オーディンの軍勢として訓練を続けるのです。
戦士たちの魂がすべてヴァルハラへ行くわけではありません。
北欧神話において美と戦いの女神フレイヤが治めるフォルクヴァングにも、
戦死した者の半数が迎えられるとされています。
ヴァルハラとは異なり、戦いよりも穏やかに過ごせる楽園のような場所とも考えられています。
勇敢な戦士たちはヴァルハラやフォルクヴァングへ迎えられますが、それ以外の死者の行き先もあります。
自然死した者や病死した者、名誉を持たずに死んだ者の魂は、死者の国ヘルヘイムへ向かいます。
ここは死者の女王ヘルによって統治され、どちらかといえば陰鬱で寒々しい世界とされています。
キリスト教の「地獄」と混同されがちですが、ヘルヘイムは苦痛を与える場所ではなく、
単に死者の魂が安息する場と考えられています。
ヘルヘイムのさらに奥深くには、最も恐ろしい死後の世界とされるニヴルヘルがあります。
ここは罪深い者や卑劣な者が送られる場所とされ、寒さと闇に閉ざされた世界です。
戦士たちが迎えられるヴァルハラとは正反対の存在といえるでしょう。
北欧神話では、死後の世界は単なる善悪で分けられるのではなく、
それぞれの死に方や人生の歩み方によって決まるとされています。
北欧神話において、最終的にはすべての世界はラグナロクによって滅びるとされています。
しかし、その後には新たな世界が生まれ、死後の世界も変化すると考えられています。
北欧神話の死後の世界は、単純に「天国」と「地獄」に分かれるわけではなく、
名誉を重んじる価値観によって行き先が決まるのが特徴です。
戦士として名誉を得た者はヴァルハラやフォルクヴァングへ、
そうでない者はヘルヘイムやニヴルヘルへ向かいます。
このように、北欧神話の死後の世界は、それぞれの生き方に応じた運命が待っているのです。