


ウプサラの古代神殿の挿絵
北欧神話期の宗教中心地と伝承されるガムラ・ウプサラの神殿を描いた16世紀の木版画。黄金の鎖や聖なる泉などのモチーフが記され、祭儀の場としての象徴性が示されている。
出典:『Olaus Magnus - On the Glorious Temple Devoted to the Nordic Gods』-Photo by Olaus Magnus/Wikimedia Commons Public domain
「この神話、どこで生まれたんだろう?」
そんな風に思ったことはありませんか?
オーディンが知恵を求めて旅をした話や、トールが巨人たちと戦った冒険、ロキがトリックスターとして巻き起こす騒動──それぞれの物語が語られた場所には、実際に今も訪れることのできる街が存在しています!
じつは北欧神話って、空想の話にとどまらず、今の街並みや文化の中にも、ちゃんと息づいているんです。
というわけで、本節では「北欧神話ゆかりの街」というテーマで、神話文学の中心地・古代宗教の痕跡が残る聖地・現代的な神話発信地の3つの視点から、街を巡る神話の旅に出かけてみましょう!
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まずご紹介したいのは、レイキャビクです。
この街は、アイスランドの首都でありながら、文学と神話を語る上でとっても重要な場所なんです。
北欧神話が現在のように文章として残されるきっかけとなったのが、アイスランドのスノッリ・ストゥルルソン(1179 - 1241)がまとめた『スノッリのエッダ』。
彼の活動の拠点となった街が、レイキャビクの近くにあるレイクホルトでした。
レイクホルトでは、当時の文化人や詩人たちが神話や歴史について議論を交わしていたそうです。
語り継がれてきた神話が「文字」となって残された記念碑的な場所といえるでしょう。
さらに、レイキャビクには国立博物館や文学館があり、神話とアイスランドの歴史がどうつながっているのかを深く学べるようになっています。
神話が記録された場所を歩くことで、物語がもっと身近に感じられるようになりますよ。
つぎに訪れたいのは、スウェーデンのウプサラ。
ここは、北欧神話に登場する神々が祀られていたと言われる古代宗教の中心地です。
ヴァイキング時代の記録によると、オーディン、トール、フレイなどの神々の黄金像が並ぶ神殿があったそうで、毎年大きなお祭りが開かれていたと伝えられています。
ウプサラには、いまでも「ガムラ・ウプサラ(古ウプサラ)」と呼ばれる場所があり、王墓とされる大きな古墳が並んでいます。
この場所が実際に儀式や祭祀に使われていたかもしれないと考えると、神話がまるで現実に近づいてくるような気持ちになりますね。
観光ガイドには出てこないような、神聖な空気に包まれたこの土地は、まさに「神話を感じる」にはぴったりの街なんです。
最後に紹介したいのは、ノルウェーのオスロ。
ここは、現代において北欧神話やヴァイキング文化を観光や展示を通じて世界に発信している街です。
オスロには「ヴァイキング船博物館」や「歴史博物館」があり、神話と現実の歴史がどうつながっていたのかを体感できます。
とくにトールやロキの人気は今でも健在で、街のおみやげショップには神話をモチーフにしたグッズがたくさん!
このように、オスロは過去の物語を「博物館」や「ポップカルチャー」を通して、新しいかたちで私たちに伝えてくれる街なんです。
神話って過去のものじゃなくて、今もずっと語り継がれているんだなと感じさせてくれる場所、それがオスロの魅力なんですよ。
こんなふうに、北欧の街をめぐりながら神話を辿っていく旅──想像するだけでもワクワクしますよね!
🏙オーディンの格言🏙
わしらの物語が芽吹いた地には、今なお「神々の息吹」が漂うておる。
レイクホルトの書物、ウプサラの祈り、オスロの再誕──
それぞれの街が「神話という血脈」を受け継ぎ、異なる形で語り継いでおるのじゃ。
神話とは、風化せぬ“記憶のかけら”が今も生きる土地のことば。
神を讃えた者たちの声は、もはや文字となって残り、
祭祀の煙は、大地の古墳のかたちを借りて今に伝わる。
わしが名を刻まれたのは空想ではない──土の中、石の上、街の空においてじゃ。
ゆえに、旅をせよ。街を巡れ。そこでこそ、わしらは再び出会えるのじゃ。
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