ロキの性格が「狡猾でいたずら好き」といわれる理由は?

ロキの性格

ロキは北欧神話随一のトリックスターで、いたずらと知恵を併せ持つ複雑な神だ。シフの髪を切る事件のように混乱を招きながらも、結果的に神々を助けることも多い。最期には秩序に背きラグナロクで神々と敵対するが、その存在は世界に変化をもたらす“混沌の象徴”といえる。

「狡猾でいたずら好き」といわれる理由にせまるロキの性格を知る

ロキがシフの髪を切ろうと忍び寄る場面

シフの髪を切るべく忍び寄るロキ
森の切株にもたれるシフの背後で、ロキが刃物を手に髪を切ろうと企てる。
彼の悪戯好きで狡猾な性格を象徴する作品。

出典:『Loki and Sif by A Chase』-Photo by A. Chase/Wikimedia Commons Public domain


 


北欧神話の中で、誰よりもトリッキーで、誰よりも魅力的──それがロキという神です。
神々の仲間でありながら、しばしば騒動の元となり、ときには命運を左右するほどの事件を引き起こすロキ。
でも面白いのは、彼がただの“悪役”ではないこと。狡猾さと機転、そしてどこか人間味のある弱さが入り混じった、とても奥深い存在なのです。


たとえば、トールの妻・シフの美しい金髪をこっそり切り落としてしまうという有名な悪戯も、ただの迷惑行為では終わらず、そこから思わぬかたちで神々の宝が誕生するなど、物語が動き出す“起爆剤”になっています。


本節ではこの「ロキの性格」というテーマを、悪知恵に長けた狡猾な性格・思いつきで動く軽快ないたずら好きな性格・そして責任から逃れず事後処理もこなす弁明上手な性格──という3つの視点から、ざっくり楽しく紐解いていきたいと思います!



狡猾な性格──知恵とずる賢さの持ち主

ロキの性格を語るうえで欠かせないのが、鋭い頭脳とずる賢さです。


北欧神話の中で、知略を駆使して神々を助けたかと思えば、次の瞬間には大混乱を引き起こす──それがロキという存在。


彼はトリックスター(いたずら者)でありながら、場の空気を読む能力や話術にも非常に長けているんです。


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やっかいだけど頼られる存在

たとえば、シフの金髪を切ってしまったとき。ロキはすぐにトールに怒鳴られますが、「ちゃんともっと良い髪を用意するから!」とその場を切り抜けます


そして実際に、ドワーフたちのもとを訪れ、魔法のように美しい黄金の髪を手に入れてしまう。


ミスの帳尻を合わせてしまう頭の良さ──これがロキの狡猾さの正体です。


いたずら好きな性格──面白さ優先で突っ走る

ロキといえば、何よりもいたずら好きな性格が際立ちます。


悪気があるのかないのか分からないその行動の数々は、神々にとっては頭痛のタネですが、物語を動かす“スパイス”でもあります。


とにかくロキは、「これをやったら面白いかも」という衝動に突き動かされるタイプなのです。


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シフの髪を切ったのも、ただの思いつき

雷神トールの妻シフは、美しい金髪を持つことで知られていました。
ある日ロキは、なんの理由もなく彼女が眠っているあいだにこっそり髪を切ってしまいます。


当然、大激怒したトールに詰め寄られるのですが、ロキは逃げずに「もっとすごい髪を用意するよ!」と返します。


悪戯が行きすぎてトラブルになるけれど、その後ちゃんと神々の宝物を作ってしまう──そんな流れが、まさにロキらしいんです。


計画性よりも、その場の面白さや驚きを優先する──この性格が、神話の中で良くも悪くも事件を巻き起こしていくのですね。


弁明上手な性格──逃げずに結果をまとめる力

そしてもうひとつ見逃せないのが、ロキの“尻ぬぐい能力”の高さです。


普通なら逃げたくなるような大失敗や失言でも、ロキはすぐに機転を利かせて言葉で切り抜け、その場を収める力を持っています。


もちろん、それがすべてうまくいくとは限りませんが、「起こした問題に責任を持つ姿勢」は、意外にも彼の誠実さの一面を表しているのかもしれません。


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責任から逃げない、でも軽やかに

シフの髪の件でも、ロキは怒られたその場から逃げ出すことなく、ドワーフのもとを訪れて、髪だけでなく他の神々の宝まで手に入れてきます


彼の行動は自己中心的なようでいて、最終的には皆を得させる結果を残してしまう


つまり、いたずらに始まり、混乱を経て、なぜかうまくまとまる。 この“結果オーライ”を成立させてしまう弁舌と行動力が、ロキという神のずる賢くも魅力的な性格なのです。


 


というわけで本節では、北欧神話の“問題児”ロキの性格について掘り下げてみました。


鋭く頭が回り、悪知恵に満ちた狡猾さ衝動的に動くほどのいたずら好きな気質、そして責任を取ってでも事態をひっくり返す弁明上手な一面──ロキはただの悪役ではなく、物語に動きと深みをもたらす重要な存在です。


「神々の中で一番人間くさい神」と言われるのも納得。
その複雑な性格にこそ、ロキというキャラクターが愛され続ける理由があるのかもしれませんね。


🌀オーディンの格言🌀

 

ロキ──あやつほど、わしを悩ませ、そして救った者はおらぬ。
破壊をもたらすと同時に、偉大なる宝をも生むその才。
「混沌」は災いか、それとも変革の兆しか──その問いを投げ続けたのが、あやつなのじゃ
時に馬となり、時に炎を灯し、そして最後には敵として現れた。
だが、忘れてはならぬ。
世界は、ただ整っておっては滅ぶ。乱す者がいてこそ、新しき芽が芽吹くのじゃ。