
「天使」と聞くと、一般的にはキリスト教に登場する神の使いを思い浮かべるかもしれません。しかし、北欧神話において「天使」に相当する存在はいるのでしょうか?
北欧神話は、オーディンを筆頭とするアース神族やヴァン神族、巨人やドワーフ、エルフといった多彩な存在が織りなす壮大な世界観を持っています。その中で、天使のように神々の使者としての役割を果たす存在はいるのか、詳しく見ていきましょう。
北欧神話には、キリスト教における天使と完全に同じ存在はいません。しかし、神々に仕えたり、神々の意志を人々に伝える役割を持つ存在はいくつか確認できます。
北欧神話において、最も「天使」に近い存在とされるのがヴァルキュリア(ワルキューレ)です。彼女たちは、戦場で勇敢に戦って死んだ戦士を選び、神々の住むヴァルハラへと導く役割を持っています。
ヴァルキュリアはオーディンに仕える存在であり、キリスト教の天使のように神の意思を伝え、導く役割を担っています。
オーディンの妻であるフリッグには、彼女を助ける多くの侍女がいます。彼女たちはフリッグの意志を伝えたり、神々の間を行き来する役割を果たしており、ある種の「天使」として考えることもできます。
天使と同じく、神々の命令を伝えたり、人々を導いたりする役割を持つ存在は北欧神話にも存在します。
オーディンには、フギン(思考)とムニン(記憶)という二羽のカラスが仕えています。彼らは世界を飛び回り、オーディンに情報を伝える役割を持っています。
この役割は、キリスト教における天使の一部の役割と似ており、神に知識や報告をもたらす存在としての共通点があります。
神々の使者といえば、オーディンの息子であるヘルモーズもその一人です。彼は死者の国・ヘルへと赴き、死んだバルドルを取り戻そうとする役割を果たしました。
彼の行動は、キリスト教の天使が神の命を受けて地上へ遣わされる様子と似ており、「神々の使者」としての側面を持っています。
ヴァルキュリアは、戦士の魂をヴァルハラへ導く役割を持っていますが、これはキリスト教の天使が死者の魂を天国へと導く役割と類似しています。
北欧神話の神々や精霊の概念は、キリスト教が北欧に伝わった後、少しずつ変化しました。ヴァルキュリアやエルフといった存在が、キリスト教的な「天使」のイメージと重なるようになったとも考えられます。
北欧神話には、キリスト教の天使と完全に一致する存在はいません。しかし
といったように、北欧神話にも「天使」に似た役割を持つ存在が複数登場するのです。