
ギリシャ神話に登場するケルベロスは、冥界の門を守る三つの頭を持つ番犬として有名です。それでは、北欧神話において「冥界の番犬」のような存在はいるのでしょうか?
結論から言うと、北欧神話におけるケルベロス的な存在は、冥界ヘルヘイムの門を守る怪物ガルム(Garmr)です。彼は「血にまみれた狼」とも「吠え続ける番犬」とも言われ、ラグナロク(世界の終末)の際にオーディンの子である戦神テュールと壮絶な戦いを繰り広げるとされています。
本記事では、北欧神話の「ケルベロス」的な番犬ガルムについて詳しく解説していきます。
北欧神話に登場するガルム(Garmr)は、冥界ヘルヘイムの門を守る獣であり、「北欧神話のケルベロス」とも言える存在です。
ガルムは、『詩のエッダ』や『散文のエッダ』などの古典資料に登場し、主にヘルの門番として描かれます。
ガルムはギリシャ神話のケルベロスと似た役割を担っていますが、以下のような違いがあります。
北欧神話の終末の日であるラグナロクでは、ガルムもまた重要な役割を果たします。
『詩のエッダ』の「巫女の予言(ヴォルスパー)」によると、ガルムの吠え声がラグナロクの始まりを告げるとされています。
ラグナロクが始まると、ガルムは冥界から飛び出し、戦神テュールと対峙します。
一部の学者は、ガルムはフェンリルと同一の存在ではないかと考えています。 というのも北欧神話では、フェンリルもまたラグナロクで神々と戦う巨大な狼として登場します。そのため、ガルムとフェンリルは同じ存在の異なる側面を表している可能性があるわけです。
ただし、これに関しては学者の間でも意見が分かれており、ガルムはフェンリルとは別の存在であるとする説も根強くありますね。
北欧神話における「ケルベロス」的な存在は、冥界の門を守る番犬ガルムです。
このように、ガルムは北欧神話の中で重要な役割を果たす、「北欧版ケルベロス」とも言える存在なのです。