北欧神話には、多くの神々や巨人、精霊的な存在が登場しますが、一般的な「妖精」に相当する存在もさまざまな形で語られています。北欧の伝承では、「妖精(フェアリー)」というよりも、「精霊」「小さな神々」として扱われることが多く、それぞれ特有の役割を持っています。
本記事では、北欧神話やスカンディナヴィアの伝承に登場する妖精的な存在の名前と特徴を一覧で紹介します。
北欧神話に登場する妖精の名前一覧
北欧神話やスカンディナヴィアの伝承には、さまざまな種類の妖精的存在が登場します。以下に代表的なものを紹介します。
北欧神話の妖精一覧
- アルヴ(Álfar):光と闇に分かれた妖精の一族。
- リョスアルヴ(Ljósálfar):光の妖精、アース神族に近い存在。
- ドッケアルヴ(Dökkálfar):闇の妖精、地下に住み影の中で活動する。
- フルグル(Huldra):森の精霊、美しいが背中が空洞の女性。
- ニッセ(Nisse) / トムテ(Tomte):農家を守る小さな妖精。
- ディス(Dísir):運命を司る女性の精霊たち。
- ヴァルキュリア(Valkyrja):戦場の死者を導く戦乙女。
- マーレ(Mare):悪夢をもたらす夜の妖精。
- ネッケン(Nøkken):水の精霊、美しい音楽で人を誘惑する。
妖精の種類と特徴
北欧神話における妖精は、大きくいくつかのカテゴリに分けることができます。
アルヴ(Álfar):光と闇の妖精
アルヴは北欧神話に登場する妖精の総称で、光の妖精と闇の妖精に分かれます。
アルヴの種類
- リョスアルヴ(Ljósálfar):光の妖精で、美しく、神々に近い存在。
- ドッケアルヴ(Dökkálfar):闇の妖精で、地下に住み影の中で活動する。
アルヴは神話ではあまり詳細に語られませんが、中世以降の伝承ではエルフ(Elf)として発展しました。
フルグル(Huldra):森の精霊
フルグルは、スカンディナヴィアの森に住む妖精です。美しい女性の姿をしていますが、背中は空洞になっており、木のような質感を持っています。
フルグルの特徴
- 人間を誘惑し、森の奥へ連れて行く。
- 親切に接すると幸運をもたらすが、粗末に扱うと災いを起こす。
ニッセ(Nisse) / トムテ(Tomte):家を守る妖精
ニッセやトムテは、農場や家を守る小さな妖精です。
ニッセやトムテの特徴
- 赤い帽子をかぶり、白いひげを持つ小人のような姿。
- 家を守るが、粗末に扱われるといたずらをする。
- クリスマスの「トムテ」は、サンタクロースの原型とも言われる。
ディス(Dísir):運命を司る精霊
ディスは、運命を司る女性の精霊で、しばしば戦場や家族の守護者として描かれます。
精霊ディスの特徴
- 死者の魂を導く役割を持つ。
- 一部のディスはヴァルキュリアと関連がある。
ヴァルキュリア(Valkyrja):戦場の妖精
ヴァルキュリアは、戦場の戦士たちの魂をヴァルハラへ導く存在です。
ヴァルキュリアの特徴
- 甲冑をまとい、白馬に乗る女性の戦士。
- 戦場で死ぬべき者を選び、オーディンのもとへ送る。
マーレ(Mare):悪夢をもたらす妖精
マーレは、悪夢を引き起こす妖精です。
マーレの特徴
- 夜に人間の胸に座り、悪夢を見せる。
- 伝承では「ナイトメア(Nightmare)」の語源とされる。
ネッケン(Nøkken):水の精霊
ネッケンは、水辺に住む妖精で、美しい音楽で人間を誘惑します。
水の精霊ネッケンの特徴
- バイオリンを奏でて、人間を水の中に引き込む。
- 音楽の才能を持つが、関わると危険。
北欧神話の妖精の影響
北欧神話の妖精たちは、現代のファンタジー作品にも多くの影響を与えています。
エルフやフェアリーの元になった
- アルヴ(Álfar)は、後の「エルフ(Elf)」の起源となった。
- ニッセやトムテは、サンタクロースの「妖精たち」の原型とされる。
ファンタジー作品への登場
- 『ロード・オブ・ザ・リング』のエルフは、北欧神話のリョスアルヴに由来する。
- 『ウィッチャー』シリーズにも、フルグルやネッケンのような妖精が登場する。
北欧神話に登場する妖精は、神々の世界と人間の世界の間に存在する不思議な存在でした。アルヴ、フルグル、ニッセなど、それぞれ異なる性格や役割を持ちながらも、神話や伝承の中で重要な役割を果たしていたのですね。