北欧神話のキャラの性格

「ミーミルの泉」の水を飲むオーディン
片目を代償として、知恵の源泉である「ミーミルの泉」の水を飲んでいる様子。
知恵に貪欲な主神の性格が如実に現れている。
出典：『Odin am Brunnen der Weisheit』-Photo by Robert Engels／Wikimedia Commons Public domain

北欧神話って、たくさんの神さまたちが登場して、まるで物語の世界に入り込んだような気分になりますよね。

たとえば、知恵を愛するオーディン、怒りっぽくて力持ちなトール、そして嘘といたずらの名人ロキなど、それぞれの神がまったく違う性格をしていて、行動やセリフもぜんぶ違うって気づいたことはありますか？

実は、北欧神話ってキャラクターの「性格」を知ることで、物語がもっとおもしろく、わかりやすくなったりするんです。

というわけで、この章では「北欧神話をキャラクターの性格から見る」という視点で、思考型・感情型・行動型という3つのタイプに分けて、それぞれの神さまたちの魅力を紹介していきます！

思考型──知恵と計画で動く神たち

放浪者の姿をしたオーディン
知を求めて各地をさすらう性格を象徴する一枚
出典：Photo by Georg von Rosen／Wikimedia Commons Public domain

まず紹介したいのは「思考型」の神さまたち。これは、感情よりも冷静な判断や知識、先を読む力で動くタイプですね。

代表的なのが、やっぱり主神オーディンです。彼は知恵を手に入れるために片目を差し出したり、自分自身を世界樹ユグドラシルに吊るして「ルーン文字」の秘密を得たりと、思考や学びに対してものすごく貪欲な神さまなんです。

自分の感情より「未来のための選択」

オーディンの性格は、とても論理的。でもそれは、仲間を守るとか、世界の運命に備えるためという理由があるんですね。

彼はいつも「世界の終わり＝ラグナロク」を意識していて、それに備えるために知識と戦略を集めているわけです。

他にも、詩の神ブラギなんかも、言葉や知識を大切にする「思考型」タイプですね。

感情より理屈、力より知恵──そんな生き方をしているのが、思考型の神々なんです。

感情型──気持ちで動く、情の深い存在

去りゆくオーズを見送るフレイヤ
北欧神話で度々家を離れるオーズを、フレイヤが悲しみと共に見送る場面。
出典：『Odur verlaesst abermals die trauernde Gattin』-Photo by Unknown／Wikimedia Commons Public domain

次に紹介するのは「感情型」の神たち。このタイプは喜びや怒り、悲しみといった感情に正直で、人間くさい一面がすごく魅力的なんです。

たとえば、愛と美の女神フレイヤは、まさに感情型の代表選手。彼女は戦いの女神でもあるけれど、同時に涙もろくて、夫を恋しがって泣くような場面もあるんです。

「好き」や「悲しい」が力になる

フレイヤは感情の起伏が激しいけど、だからこそ周囲の神たちや人間からも愛される存在。彼女の涙は黄金になるといわれるほど、「感情そのもの」が力として扱われるのも面白いところです。

他にも、豊穣の神ニョルズや、母性愛の強いフリッグなんかも感情型。強さだけじゃなく、思いやりや寂しさみたいな気持ちも神話の中でしっかり描かれているんですね。

人間っぽさ＝魅力のひとつ──それが感情型の神々の持ち味です。

行動型──すぐ動く！まずやってみる神たち

巨人族トリュムを討つトールの挿絵
ミョルニル奪還の場面で、トールの行動型性格を象徴的に示す一枚。
出典：『Thor Destroys the Giant Thrym』-Photo by Lorenz Frolich／Wikimedia Commons Public domain

最後は「行動型」。考える前に体が動いちゃうタイプで、北欧神話の中でも特に派手に活躍する神さまたちがそろっています。

やっぱりここで外せないのが、雷神トール。とにかく力まかせに問題を解決するのが得意で、戦いや冒険、巨人退治など、彼が出てくる話はどれもド派手！

思いついたら即実行、それがスタイル

トールは深く考えるより、すぐ行動することで問題に立ち向かいます。もちろん失敗もあるけど、それでもどんどん突き進む勇気がある。

武器のミョルニル（ハンマー）を使ったエピソードも数えきれないほどあって、「体を張って守る」っていうヒーロー像そのものなんです。

そしてもうひとり、忘れてはいけないのがロキ。彼はいたずら好きで予測不可能な存在ですが、やっぱりその場その場で動く「行動型」なんですよね。

勢いとタイミングで世界を揺るがす──それが行動型の神々のエネルギーなんです。